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見えない細菌が作る白酒の豊かな香り

背景

中国の白酒(バイジュウ)は、穀物を原料として微生物の自発的発酵によって造られる伝統酒です。果実や花のような豊かで独特な香りをもつことが知られていますが、この香りを生み出す微生物の働きや発酵環境は十分に解明されていません。この研究では発酵中の細菌の変化や、それが環境条件や香り成分の変化とどう結びついているのかに注目しました。

結果

仕込んだ直後から約88日後まで、発酵の進行に伴って細菌の種類や割合が変化し、それらが温度やpHなどの非生物的要因と密接に関連していることが明らかになりました。さらに、こうした細菌コミュニティの変化に応じて、果実様の香りをもつ揮発性成分が多く生成されていました。細菌と環境条件が連動することで香りが形成されていたのです。

コメント

白酒の香りは特定の一種の微生物によってではなく、複数の細菌と酵母が協調的に働くことで生み出されると考えられます。また、温度や水分、糖の量といった環境条件が細菌の活動を間接的に調整する重要な役割を果たしていることも示されました。このことから、自然発酵は偶然ではなく、秩序だった微生物生態系に支えられているといえるでしょう。

日常生活

この「菌と環境が一緒に香りをつくる仕組み」は味噌や醤油、ヨーグルトなどの身近な発酵食品にも共通しています。材料が同じでも発酵環境で味や香りが変わるのは微生物の種類や働きが変化するためです。発酵食品の味が毎回少しずつ違う理由も、微生物のバランス変化で説明することができます。ご家庭で発酵食品を仕込むときにも、季節や室温、塩加減などを少し意識してみると、「どんな菌が活躍しているかな?」と想像する楽しみが増え、日々の食卓がちょっとした実験室のように感じられるかもしれませんね。

引用文献

Bacterial community improves the volatile components coupled with abiotic factors during the spontaneous fermentation of Chinese strong-aroma Baijiu, Bin Lin et. al., Food Chem X. 2024 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39758062

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