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乳酸菌がつくるなれずしの世界
背景
現代の寿司の原型である「なれずし」は、魚と米を塩と酢で下ごしらえし、山椒の葉や赤唐辛子と一緒に長い時間をかけて自然発酵させる熟成寿司です。その特有の風味に仕上がる過程で、微生物の組成がどのように変化していくかという研究はありませんでした。そこで、アジのなれずしを仕込みの初期から最終製品となる41日まで追跡し、発酵の途中で微生物の顔ぶれがどのように変化するのかについて調べました。
結果
発酵期間を通して、全部で50属以上もの多様な菌が検出されましたが、その中でも乳酸菌の仲間であるLactobacillus属(特にL.plantarumとL.brevis)が最も豊富であり、細菌群集の約75〜90%を占めていました。さらに発酵後のご飯の部分には、多量の乳酸と少量の酢酸が含まれており、乳酸菌の活動によって酸性の環境がつくられていることがわかりました。

コメント
スターターを加えない自然発酵であっても、時間の経過とともに乳酸菌が優勢となっていき、最終的には「ほとんど乳酸菌が主役の世界」になることが分かりました。この微生物組成の変化がなれずし特有の風味を形づくり、また腐敗につながる菌の増殖が抑えられることで保存性ももたらされると考えられます。
日常生活へのポイント
なれずしでは、最初はいろいろな菌が入り混じっていますが、発酵が進むと乳酸菌だけが残り、その結果として、酸味のきいた独特の味わいや長く保存できる状態が生まれます。私たちの日常でも、勉強・仕事・趣味などを続けていうちに、自分に合うものや大切にしたいものだけが自然と残り、大事なものが見えてくるかもしれません。
引用文献
KIYOHARA et al., Changes in Microbiota Population during Fermentation of Narezushi as Revealed by Pyrosequencing Analysis, Biosci Biotechnol Biochem., 2012
https://academic.oup.com/bbb/article/76/1/48/5954536?login=true
