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乳酸菌の種類で変わる?サワークリームと血中脂質
背景
サワークリームは、生クリームを乳酸菌で発酵させて作る高脂肪の発酵乳製品です。一般的なサワークリームには、風味や食感をつくるために乳酸菌が使われていますが、近年では、発酵に用いる乳酸菌の種類によって、健康への働きも変わる可能性が注目されています。
本研究では、プロバイオティクスとしての性質が報告されている乳酸菌 Limosilactobacillus fermentum AG8(AG8)および Lactiplantibacillus plantarum AG9(AG9)を用いて発酵させたサワークリームが、マウスの血中脂質や肝臓に関わる指標、血中の免疫細胞、腸内の微生物などにどのような影響を与えるかを調べました。
結果
28匹のマウスを7匹ずつ4群に分け、21日間の試験を行いました。
マウスには、通常の食餌に加えて、一般的なスターター乳酸菌で発酵させたサワークリーム、AG8で発酵させたサワクリーム、AG9で発酵させたサワークリームを1日1g与えました。

その結果、AG8またはAG9で発酵させたサワークリームを摂取した群では、サワークリームを与えなかった対照群、一般的な乳酸菌で発酵させた群と比較して、血中のトリグリセリドと総コレステロールが低くなっていました。
一方で、血中脂質の全てが同じ方向に変化したわけではなく、HDLやLDLの値については、乳酸菌の種類によって異なる変化が見られました。また、肝臓の状態を知る手がかりとなる酵素については、AG9群でALTが、AG8群でASTが低下しました。腸内の微生物を調べたところ、サワークリームを与えた群では大腸菌群が対照群より増加しました。ただし、その増加は一般的なサワークリーム群で大きく、AG8群やAG9群では比較的小さく押さえられていました。
コメント
本研究から、同じサワークリームでも、発酵に使う乳酸菌の種類によって、マウスの血中脂質や肝臓に関わる指標、血液中の細胞、腸内の微生物への影響が異なる可能性が示されました。特にAG8およびAG9で発酵させたサワークリームでは、トリグリセリドや総コレステロールの低下がみられた一方、一般的な乳酸菌で発酵させたサワークリームでは、同じ変化はみられませんでした。
このことから、食品がサワークリームであることだけでなく、発酵を担う乳酸菌の性質が重要である可能性が考えられます。
日常生活へのポイント
乳酸菌は、発酵食品の風味を作るだけでなく、菌の種類によって食品の働きにも違いを生み出す可能性があります。今回の研究は、「サワークリーム」という食品名だけでは、その特徴を全て説明できないことを示す興味深い例と言えます。ただし、この研究で使われたAG8やAG9は特定の研究用菌株であり、市販されているすべてのサワークリームに同じ働きがあるわけではありません。また、本研究はマウスを対象とした試験であり、ヒトで同様の効果が得られるかはまだ分かっていません。
そのうえで、将来、発酵食品を選ぶ際には、食品の種類だけでなく、「どの乳酸菌を使って発酵させたのか」にも注目する時代が来るかもしれません。発酵に使う菌によって食品の個性が変わることも、発酵の奥深さの一つです。
引用文献
Nikitina E. Effect of Sour Creams Fermented by Limosilactobacillus fermentum AG8 and Lactiplantibacillus plantarum AG9 on Mice, Current Research in Nutrition and Food Science. 2025.
