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実は重要?カカオ豆の攪拌が香りに与える影響
背景
カカオ豆の香り特性は、収穫後に行われる発酵工程によって大きく左右されます。発酵中に豆を混ぜる工程である「ターン」は一般的な作業ですが、その開始時期が香り成分に与える影響は十分に明らかにされていませんでした。この研究では、最初のターンを24時間後に行う場合と48時間後に行う場合の2通りを比較し、カカオ豆の香り成分と微生物の変化に及ぼす影響を検証しています。
結果
発酵の早い段階(24時間後)からターンを行った群(橙プロット)では、酸やアルコール由来の香り成分が多く生成されました。一方で、その開始を遅らせた群(青プロット)では、花や果実を思わせる香り成分が多く検出されました。ターンの開始時期によって、香り成分の構成が明確に変化することが示されました。 (図中でプロットの後ろに付いている数字は、初めの攪拌からの経過時間を表しています。)

コメント
ターンによってカカオ豆のかたまりに酸素が供給されると発酵に関与する微生物の顔ぶれや働き方が変化し、その違いが香り成分の作られ方や量に影響したと考えられます。この結果は、発酵の進み具合を調節することがカカオの香り形成において重要な要因であることを示す興味深い知見と言えます。
日常生活
カカオの発酵は天候や設備に左右されやすく、安定した品質を保つことが難しい工程でした。この研究は人が手を入れられる「ターン」のタイミングというシンプルな要素によって、発酵の進み方や香りの傾向を調整できることを示しました。私たちがチョコレートを選ぶとき、「産地」や「カカオ分」だけでなく、「どんな発酵を経てきた豆なのか」と想像してみると、同じ一片のチョコレートでも、味わい方が少し変わってくるかもしれません。
引用文献
Cocoa bean turning as a method for redirecting the aroma compound profile in artisanal cocoa fermentation, Velásquez-Reyes Dulce et. al., Heliyon. 2021
