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酒粕は腸と腎臓にやさしい?-酒粕の知られざる健康効果-
背景
慢性腎臓病(CKD)では腸内細菌叢のバランスが乱れ、有害な物質(尿毒素)が増加することがあります。こうした物質は腎臓に負担をかける可能性があり、CKDに多い便秘との関係も注目されています。日本酒造りの副産物である酒粕には、便秘を改善する可能性のある食物繊維や、発酵によって生じるD-アミノ酸が含まれています。中でもD-アラニンは、腎臓を守る働きがあるのではないかと研究されている成分です。
そこで本研究では、将来のCKD患者への応用を見据え、腎臓病のない便秘を有する成人を対象に、酒粕の採取が便中の尿毒素、血中D-アラニン、便秘症状、腸内細菌に与える影響を調べました。
結果
慢性的な便秘のある健康な成人8人に、1日25 gまたは50 gの酒粕を6週間食べてもらいました。その結果、便秘症状を示すスコアと、便秘に伴う生活の質を示すスコアは、摂取開始から2週間後に改善し、その状態は6週目まで続きました。血中のD-アラニンは2週目に有意に増加し、その後も摂取前より高い傾向がみられました(50 g/day接種した人でより上昇がみられた)。
一方、D-セリンには明確な変化がありませんでした。また、腸内細菌叢の構成には一部変化がみられましたが、菌の多様性や、尿毒素の産生に関わると考えられている菌には明確な変化が見られませんでした。

コメント
本研究では、酒粕を6週間食べることで、便秘改善やD-アラニン増加には有効である可能性が示されました。その一方で、当初期待されていた便中尿毒素の減少は確認されませんでした。また、腸内細菌には一部変化がみられたものの、それが便秘の改善にどのように関わったかは、まだ分かっていません。
この研究は、参加者が8名と少なく、酒粕を食べない対照群も設けられていない探索的な試験です。そのため、今回の変化が酒粕によるものだと断定することはできません。今後はより多くの人を対象とした比較試験や、CKD患者での検証が必要です。
日常生活へのポイント
酒粕には食物繊維や発酵由来のさまざまな成分が含まれており、便秘や腸内環境の改善に役立つ可能性があります。甘酒、みそ汁、鍋物などに加えれば、日常の食事にも取り入れやすいでしょう。ただし、今回の研究だけで「酒粕を食べれば腎臓病を予防・改善できる」とは言えません。まずはバランスの良い食生活や規則正しい生活習慣を整えることが基本です。その上で、酒粕を日々の食事に無理なく取り入れることは、発酵食品を楽しむ一つの方法になりそうです。
引用文献
Effects of sake lees intake on fecal uremic toxins, plasma D-alanine, constipation, and gut microbiome in healthy adults: A single-arm clinical trial
