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長期間発酵した魚醤は機能性が高まる?

背景

魚醤は魚を塩漬けにして長期間発酵・熟成させて作られる、アジアの伝統的な発酵調味料です。発酵の過程では魚のタンパク質が分解され、ペプチドやアミノ酸などの成分が生成されます。これらの成分には抗酸化作用やACE阻害作用(血圧上昇に関わる酵素を抑える作用)が期待されていますが、発酵期間の違いがこれらの機能性に与える影響は十分に明らかになっていませんでした。
そこで本研究では、6か月および12か月発酵させたタイ魚醤の、それぞれに含まれるペプチドやアミノ酸の特徴と機能性を比較しました。

結果

魚醤を成分ごとに分けて調べたところ、6か月発酵品と12か月発酵品のどちらでも、短いペプチドとアミノ酸を多く含む成分が、特に高い抗酸化作用とACE阻害作用を示しました。

ACE阻害作用は、6か月発酵品よりも12か月発酵品の方が高く、発酵期間が長くなることで、血圧上昇に関わる酵素の働きを抑える成分が増えたり、成分の組み合わせが変化したりした可能性が考えられました。

一方、抗酸化作用については、すべての試験で12か月発酵品が高かったわけではなく、測定方法によって6か月発酵品と12か月発酵品の結果は異なりました。さらに、魚醤由来の成分をヒト肝臓由来細胞(HepG2)に添加したところ、一定の濃度までは細胞を酸化ストレスから守る働きがみられました。
特に12か月発酵由来の成分では、細胞が酸化ストレスから身を守るために働く抗酸化酵素SOD1の遺伝子発現が、より強く高まりました。

コメント

本研究から、魚醤中の機能性には発酵によって生成されるペプチドが関与していることが分かりました。特に長期間発酵した魚醤では、ACE阻害活性が高く、細胞の抗酸化防御に関わる遺伝子の働きが強く高まったことは興味深い結果です。ただし、本研究は基礎的な実験(in vitroおよび細胞実験)が中心であり、実際に魚醤を摂取した際に同様の効果が得られるかは今後の検討が必要です。

日常生活へのポイント

魚醤は料理にうま味を与える調味料として利用されています。そのおいしさの背景には、発酵・熟成によって作られるペプチドやアミノ酸があります。今回の研究から、発酵期間の違いによって、味だけでなく、機能性にも違いが生じる可能性が示されました。魚醤を選ぶときには、産地や原料だけでなく、発酵期間や製造方法にも目を向けてみると、発酵調味料の奥深さをより興味深く楽しめるかもしれません。また、魚醤は塩分の高い調味料なので、少量を上手に使って、その強いうま味を料理に生かすのがおすすめです。

引用文献

Characterization of the antioxidant and ACE-inhibitory activities of Thai fish sauce at different stages of fermentation, Ali Hamzeh, et al., Food Chemistry, 2020.

https://doi.org/10.1016/j.jff.2019.103699

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